「新しい年を迎えて~制度改革への思い~」

<ふくはまの風 第24号 2015/1/15より>

 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

 新しい年を迎え、皆さまには健やかにお過ごしのことと存じます。当法人は平成6年12月に設立し、昨年12月でちょうど20年が過ぎました。法人としてここまで続けて来られたのは、利用者さんとご家族、そして周囲の関係者の方々に支えられた結果だと感謝申し上げます。

 はまぼうがスタートした平成7年の頃は、「施設福祉から在宅福祉へ」と流れが変わりつつある頃で、各市町に小規模授産所ができていましたが、障がいの重い人が利用する通所施設はまだ少ない時代でした。障がいのある人が、この地域で暮らしていくための拠点としての役割が果たせたなら、というある意味大それたことを考えつつ法人を立ち上げたことが思い出されます。

 スタートからのこの20年間に、「措置制度」から「支援費制度」そして「障害者自立支援法」「障害者総合支援法」と、目まぐるしいほどに制度の変化があり、また障害者虐待防止法、差別解消法などの法律の成立や障害者の権利条約批准などに見られるように、障がいのある人を取り巻く環境も大きく変わりました。「ノーマライゼーション」「インクルーシブ教育」「共生社会」「社会的障壁の除去」「合理的配慮」「意思決定支援」などがそのキーワードとしてあげられ、障がいの有無に関わらず、一人ひとりの違いを共に認めたうえで、その人の生活や思いに焦点を当てていこうという、社会全体としての方向性が打ち出されています。

 このような流れは、一人ひとりの個別支援を基本に活動を行ってきた当法人としては望んできたことですが、とは言ってもこれからの変化は、痛みや戸惑いを伴うもので、時を経て気が付けば、制度に翻弄されている自分たちの姿を目にして「はっ!」としたことも正直ありました。それに気付くたびに、利用者さんやご家族と向き合う基本に戻ることを心掛けてきました。

 現在、障害福祉サービス事業や社会福祉法人の在り方をめぐって、国にさまざまな動きがあります。そこで感じるのは、利用者さんやそのご家族と関わる中でそのニーズに応えようと努力してきた自分たちに置かれている場が、こんなにも危ういものなのか、そこに現場の確かな情報が届いているのだろうかといった疑問やもどかしさです。地域の中でこういう努力をしていますよという個々の法人の情報は届くべくもなく、十把ひとからげに判断される。もっともっとそれぞれの地域の状況を発信していく必要があるのだと実感しています。

 また、施設の役割も、施設の活動を充実していくことは言うまでもなく、地域で暮らしていく上での支援(サービス提供)や在宅の人たちへの支援、そしてその裾野を広げていくことが求められています。それが、今社会福祉法人の役割として問われている「地域における公益的な活動」のひとつです。

 今後も、さまざまな状況の変化(改革)が予想されます。障がいのある人やご家族とともにお互いに支えあう関係を持続しつつ、歩みを進めていきたいと思います。

 

                                    (高橋)