新たなスタートに向けて

<ふくはまの風 第18号 2012/6/15より>

 平成24年度は、法人内において2つの施設整備が行われました。はまぼう及び潮の香の増築工事です。新たな場所で活動を行う環境が整備されると同時に、昨年の3.11東日本大震災を受けて、避難場所としての機能も考慮した建物です。また長年はまぼうには屋根がなかったため、車椅子利用者の方の雨天時の乗降に支障があったのですが、それも解消しようと1階部分はピロティとなっています。しかし発表された津波高を考えると、利用者の方のために安心を得るには、まだまだすべきことがあるというのが実感です。

また、法人内で唯一旧法施設であった松ぼっくりが、今年度生活介護事業に移行したことで、法人運営の施設全てが、新しい事業体系の事業所となりました。これを一つの契機として、改めて地域のニーズを受け止めていくという視点を持ち、それぞれの施設のこれからの方向性を考えていく時期にあると受け止めています。

それぞれがどのような人を利用対象として受け入れていくのか、その特色を活かしてどのようなプログラムが用意できるのか、そこで活動する喜びをともに感じながら過ごすにはどんな工夫が必要なのか、どのような障がいのある人に対してもその意思を大切にした支援ができるのか・・・。

各施設が持ち味を発揮し、当事者や地域のニーズに応えていく力を持っていたいと願っています。そのためには、法人全体はもちろんのこと、各施設においても、職員一人ひとりが、地域のニーズが私たちへの課題であることを認識し、それをみんなで共有し、同じ方向性を失うことなく進んでいければ、そこに答えが見えてくるのではないかと思うのです。

 昨年度に、法の一部改正が行われ、それまではまぼうで重症心身障害児()を対象に実施してきた通園事業が廃止となりました。時折聞こえてきてはいましたが、やはり当事者として唐突感は否めませんでした。このことにより、今まで利用されていた方の内、18歳以上の人ははまぼうと同じ生活介護事業の対象となり、乳幼児・児童は児童福祉法の児童発達支援事業や放課後等デイサービス事業の対象となることが示されました。

この法改正を受け、はまぼうとしては、主たる対象者を重症心身障害児()として、生活介護事業及び児童発達支援事業並びに放課後等デイサービスを一体的に行う、多機能型(定員5名)として、はまぼうとは別事業所(名称:あにまぁと)としてスタートすることにしました。定員は、児・者で区分せず、職員・設備については兼務・共用を可とする方向が示されたので、これまで併設して行ってきた通園事業とほぼ同じ捉え方で実施していく予定です。

具体的には、放課後等デイサービスは、特別支援学校等に通っている重症児(これまでも数名の方が利用されています)が対象となり、児童発達支援事業は重心の乳幼児が対象となります。ですから、これまではまぼうでは実践してこなかった保育、療育の視点からのアプローチが必要となってきます。重症心身障害のある方は、常に健康状態が安定しているわけではありません。これまで以上に、医療機関との緊密な連携が必要となってくることが予想されます。

平成1410月に重症心身障害児()通園事業がスタートして以降、はまぼうは、この地域において医療的なケアのある重心の人が利用できる施設として支援を続けてきました。今後も、充実した在宅支援(本人支援、家族支援など)となるよう役割を果たしていければと考えています。

(髙橋和己)